脳梗塞後遺症・脳出血後遺症について

脳卒中と呼ばれる『脳梗塞』『脳出血』などの疾患を皆さんはご存知でしょうか?

  • 脳血管疾患の患者数は総患者数 117万9000人
  • 脳卒中による年間死亡者数 11万4207人 そのうち約6割が脳梗塞
  • 死因別死亡数の全体の9% 男性死因4位 女性死因3位
  • 介護が必要になる原因の第1位 全体の2割が脳卒中

このように統計的に見ても非常に発症している方が多く、私たちの生活の中でもよく名前を聞くことがある疾患です。

今回は、脳卒中がどんな病気なのか?
私たち鍼灸師がどのようにして関わっていくことができるのか?
などをご紹介していきたいと思います。

脳梗塞について

脳卒中って、どんな病気?

冒頭でも触れましたが、脳卒中というのは脳梗塞や脳出血などの総称です。
脳卒中は起こり方によって、分類されます。

脳梗塞とは

脳の血管が詰まる事により、脳細胞が酸欠状態になってしまい壊死や細胞の機能が低下してしまうものです。大きく分けて4つのタイプに分ける事が出来ます。

1.ラクナ梗塞

脳の細い血管が損傷を受けて細くなってしまい、詰まってしまうもので比較的に日本人に多いものと言われています。
症状は軽いですが、パーキンソン症状を起こすことがあります。

2.アテローム血栓性梗塞

脳の太い血管が動脈硬化を起こし狭くなり、血管が詰まってしまうものです。欧米人に多いと言われますが、近年、食生活の変化から日本人にも増えてきています。
半身麻痺、感覚障害、視野欠損などの重篤な症状が現れることが多い。
生活習慣病などに起因することがおいと言われています。

3.心原性脳梗塞血栓

心臓で出来た血栓が脳の血管まで運ばれ、血管を詰まらせるもの。
ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞とは異なり、今まで流れていた血管が急に詰まることで重症化し、脳へのダメージも広範になると言われています。

4.一過性脳虚血発作

一度詰まっても24時間以内に回復するもので、一時的にろれつや半身の動きが悪くなるなどの症状がありますが血流が回復しはじめると、症状が回復していきます。
脳梗塞などの前触れといわれているので、怪しいなと思った時点で医療機関への受診を薦めています。

脳出血とは

脳の細い血管が破れてしまい出血し、それによって脳細胞がしんでしまうもの。
高血圧などで血管に持続して圧がかかっていたり、加齢によって血管が脆くなっていたりすることが原因と考えられています。

くも膜下出血とは

脳は3層の膜で覆われていて、内側から軟膜・くも膜・硬膜となっています。
軟膜とくも膜の間に流れる血管の動脈瘤が破れ、血液で脳全体を圧迫してしまい激しい頭痛や嘔吐、意識障害などの症状を引き起こします。

このように脳梗塞や脳出血にもいくつか種類がありますが、原因は遺伝性であるものもありますが、生活習慣病も大きな要因として考えられています。
動脈硬化を引き起こす、肥満症や高脂血症。
血管に負担を与え、血栓を運んでしまう高血圧などの生活習慣病などを改善することが脳卒中のリスクを減らすことになります。

次に後遺症についてお話していきましょう、脳梗塞や脳出血の後遺症はダメージを受けた、脳の個所によって違いますがここでは代表的な症状を紹介していきます。

脳性麻痺とは

脳性麻痺は、脳の細胞や組織などが脳梗塞や脳出血などによって障害を受けることで、運動麻痺や感覚障害を起こしてしまいます。
体の片側だけ麻痺して動かせなくなる片麻痺や半身麻痺、細かい作業ができなくなるなどの運動機能の低下や姿勢保持困難などがあります。
他には、熱さや寒さ、痛みなどに鈍感になる感覚障害や物が二重に見えたり欠けてみえたりする視野障害、呑み込みが上手くいかない嚥下障害などがあります。
このような後遺症は、重度の脳梗塞などを発症した方によく見られます。

言語障害(失語症)とは

聴く、話す、読む、書くなどの言語機能が失われた状態です。
言語障害になると、相手の言っている言葉を理解したり、伝えたいのにどんな言葉を言えばいいのか分からなくなる為、意思の疎通が困難になります。
更には言葉だけでなく、文字を書くことも難しくなります。
これは言葉として理解しているが、音として言葉を作る事ができない構音障害とは別のものになります。
構音障害は運動麻痺の1つです。
左脳が損傷を受けることで、症状が出やすくなります。

認知障害とは

見えているはずなのに気付かない空間認知や今、自分がどこにいるのか分からなくなったり、人の名前が出てこなかったりなどの認知症のような症状が出ることがあります。
特に脳の障害を受けた部位と残った部位で認知能力に差が出るため、このような状態を「まだら認知症」といいます。

脳卒中はこのような後遺症が残ることで、生活の質(Quality Of Life以下QOL)が低下してしまいご本人やその家族にとって、肉体的にも精神的にも大きな負担となってしまいます。
この生活の質(QOL)を高めるため、負担を軽減する上で大切になるのがリハビリです。

脳卒中のリハビリとは

リハビリの主な目的は、「廃用症候群などによる寝たきりの予防」「機能障害や能力低下からの回復を目指し、生活の質の維持と向上」です。

脳卒中の発症後の期間によって、

  • 発症直後~2か月を「急性期」
  • 病状安定から3~6か月を「回復期」
  • それ以降を「維持期」

この3つの期間に分けられます。

急性期のリハビリでは、廃用症候群の予防が目的となります。
その為、手足の関節を動かす可動域訓練や床ずれを予防するための体位変換、立位や座位などで姿勢保持訓練などの基本的な訓練を行います。
この急性期でのリハビリは、出来るだけ早期に行うことが大切です。
それは麻痺を起こしていない健側ばかり使ってしまうことで脳が間違った学習をしてしまい、麻痺側をつかわなくていいと認識し回復が遅くなります。
なので、出来るだけ早い段階でリハビリを行い間違った学習をさせないことが必要となります。

回復期のリハビリでは、日常生活で必要な身体機能の回復が目的となります。
この回復期までは病院で入院しながらほぼ毎日、様々な訓練が行われ日常生活が行える状態まで回復させていきます。

急性期・回復期までのリハビリは病院での入院制限 最大180日の間で行われます。
そして、その後は維持期として在宅でリハビリを行っていくことになります。
ここでは、回復した身体機能の維持。そして、残った後遺症の改善を目的としています。

一般的にリハビリは、発症から6ヶ月程度までが効果的とされ、失われた機能を100%回復することは難しい事です。
さらに一度死んでしまった脳細胞自体は回復することはありません。
ただし、リハビリを続けることで死んでしまった脳細胞の代わりを生きている脳細胞が行うことで、ある程度機能を肩代わりすることが判明しているのです。
生活の基盤を急性期~回復期で作り、維持期でQOLの向上を目指すということになります。
その為にも、適切なケアを取り入れていくことが大切になります。

適切なケアとは?

ここで私が考える「適切なケア」とは、常にリハビリを効果的に行えるように心身の状態を整える事です。

可動域訓練や日常動作訓練など苦手な動きを繰り返すリハビリは、私たちが想像するよりも大きな負担を心身に与えています。
特に日常動作訓練では、麻痺をしていない手足を使い生活することを前提としているため肉体的負担が偏り、体を痛めてしまい、さらに、その痛みを庇うことで上手く体を使うことができず精神的にストレスが溜まってしまうなど悪循環に陥ってしまい、リハビリに対する意欲が低下してしまうこともあります。

鍼灸・マッサージを行うことで、訓練や生活の中で蓄積された疲労や痛みなどを取り除き、筋肉や関節の状態を整えていきます。
筋肉や関節の状態を整えることで可動域の拡大や筋出力向上が期待することができます。
また、疲労や痛みは精神的なストレスをため込みやすい状態にしてしまいます。
肉体をケアすることで、精神的にもよい状態を作る事でリハビリに対する意欲の低下を防ぎます。

WHO(世界保健機関)も鍼灸治療の有効性を認めています

マッサージやリハビリではなく「鍼灸」にしかできないこと・・・
脳は身体を動かすための司令塔です。
この司令塔から各部位に命令を送るために神経を通して繋がっています。
鍼灸では、鍼で痛覚に刺激を送ったり、灸で熱刺激を送ったり、電気鍼(パルス鍼)を用いることで、麻痺を起こし力の入りづらい筋肉に刺激を与え、筋緊張を高めたりなど、通常のリハビリやマッサージにはない刺激を体に与える事が出来ます。
これにより、この神経の繋がりを活性化させることで脳を刺激し、身体機能を活性化させていくことが期待できます。

鍼灸だけで、後遺症は改善するのか?

鍼灸「だけ」では、正直難しいでしょう。
ただ、私たちは鍼灸を取り入れることでより早く、より体の負担なく体の機能回復を手助けすることが出来ます。
普段の生活やリハビリ、ご家族のケア、鍼灸治療、積み重なり初めてQOLは向上していきます。

喜びの声をいただいています!

当院では、脳卒中の後遺症に苦しむ方々から多くの喜びの声を頂いています。

60代男性「身体が動かない、動けても痛いから解放されました」

脳卒中が発症してから、1年が過ぎ在宅でのリハビリを続けていました。
左半身の麻痺があり、1日の殆どを車椅子の上で過ごし、歩行訓練を行っても足は中々前に進まず、筋肉は固くなりいつしか腰強い痛みを抱えるようになりました。
リハビリにも限界を感じていた頃、脳卒中に対する鍼灸治療を耳にしました。
実際の治療を受けてみると、筋肉固さが解消し腰痛は軽減しました。
そして、痛みが軽減することで全身をしっかりと使う事ができ歩きやすくなっています。
最近ではリハビリの先生にも歩行が良くなっていると褒められました。
「自分の足で歩く」という目標に希望が見えました。

最後に・・・

「もっと楽に動けたら」「杖や歩行器を使いたくない」「一緒にあるきたい」など、それぞれの思いが本人や家族にもあると思います。
そんな思いに一歩でも近づくためのお手伝いを私たちもさせていただけたらと思っています。