筋ジストロフィーについて

皆さんは「筋ジストロフィー」と言う疾患をご存知でしょうか?メディアなどでも取り上げられることがあるので、名前は聞いたことがあると言う人も多いのではないでしょうか。筋ジストロフィーは進行性に筋肉が障害されていく疾患ですが、厚生労働省指定難病の1つです。遺伝性疾患というイメージが強いので、小さい頃から症状が出ると思っている方も多いと思いますが、病型によっては壮年期や中年以降に発症する場合もあるのです。

今回は筋ジストロフィーとは何か?
筋ジストロフィーの原因は?
筋ジストロフィーに対して鍼灸師が出来ること
以上についてお話していきたいと思います。

筋ジストロフィーとは?

「筋ジストロフィー」とは筋肉(特に骨格筋)に障害を起こす遺伝性疾患の総称とされています。筋ジストロフィーの中には多くの疾患が含まれますが、いずれも筋肉の機能に不可欠なタンパク質の設計図となる遺伝子に変異が生じたために起きる病気なのです。

遺伝子に変異が生じると、タンパク質の機能が障害されるため、細胞の正常な機能を維持できなくなり、筋肉の変性と壊死が生じます。その結果、筋肉の萎縮や脂肪・線維化が生じ、筋力が低下することで運動機能などに障害をもたらします。

筋ジストロフィーには様々な病型がありますが、国内で10万人に20人程度の発症率とされています。しかし、軽症で本人も気づいていないケースや、軽い運動機能の障害では受診しないケース、そして筋ジストロフィーと診断されないケースもあるため、国内における筋ジストロフィー患者の正確な数は把握されていないようです。

筋ジストロフィーにはデュシェンヌ型、ベッカー型、エメリー・ドレイフス型、福山型、肢帯型、顔面肩甲上腕型、筋強直性、眼咽頭筋型など、多くの種類が存在します。
一部のタイプでは人種や地域によって特徴的とされ、福山型筋ジストロフィーは日本のみでみられるとされています。

反対に筋強直性筋ジストロフィーは日本ではほとんどみられません。染色体の異常は近親婚で起こりやすいともされており、そういった文化や風習のある国や地域ではよくみられる場合もあるようです。

遺伝形式 病型 発症する年齢 患者の性別 障害される部位 特徴
劣性遺伝

性染色体

デュシェンヌ型 5歳以下 男性 体幹(胴体) 仮性肥大
ベッカー型 5~25歳以下 男性 体幹(胴体) 仮性肥大
エメリイ・ドライフス型 4~5歳 男性 体幹(胴体)
劣性遺伝

常染色体

先天型(福山型を含む) 0~8ヶ月 男女とも 全身 知能低下
歩行は不能
肢帯型 5~25歳以下 男女とも 体幹(胴体) 30歳以下で発症する
遠位型 男女とも 末梢 つま先立ちが早期より不能
優性遺伝

常染色体

顔面肩甲上腕型 10~30歳 男女とも 顔面、肩甲、上腕 上肢拳上困難で発症
眼筋咽頭型 男女とも 眼筋と咽頭 眼球が動かなくなる
筋緊張型 30歳頃 男女とも 末梢(手足) ミオトニー

※筋緊張型は、ときに10歳以下で発症することもある。

ここでは代表的な筋ジストロフィーをいくつか取り上げ、その特徴をご紹介します。

デュシェンヌ型

デュシェンヌ型は、性染色体(X連鎖)劣性遺伝と言う遺伝形式により、発症するのが男児に限られている筋ジストロフィーです。筋ジストロフィーの中で最も出現頻度が高く、日本に生まれてくる男児のうち約3500人に1人が発症すると言われています。

歩き始めるのが遅かったり、階段を嫌がったり、転びやすかったりと言う特徴から病気を疑う場合もありますが、多くの場合は風邪などの他の疾患で血液検査をした際に、偶然発見されるようです。発症した人の中には知的な遅れが見られることもあり、場合によっては自閉傾向を示すこともあるようです。

ベッカー型

ベッカー型の筋ジストロフィーも性染色体劣性遺伝によって、男児に発症する筋ジストロフィーです。ベッカー型は症状が軽いケースが多いため、正確な数は不明ですがデュシェンヌ型の1/4の割合で発症すると言われています。

症状はデュシェンヌ型に似ているものの、成人を過ぎても歩行が可能であるなど比較的軽い症状が多いのが特徴です。中には運動をするときの筋肉痛が唯一の症状というケースもあるようです。

福山型

福山型は先天性の筋ジストロフィーで、日本に生まれてくる全ての子どものうち1万人に1人が発症するとされています。福山型に関しては、常染色体劣性遺伝という遺伝形式から男児女児問わずに発症する可能性があります。

多くは発達・発育の遅れで気づかれ、知的な遅れを伴っている人が多いと言われています。しかし程度には個人差があり、単語を複数つなげた言葉を話す人もいれば、通常の会話が可能な人もいます。また、約半数の人にけいれんの症状がみられるのも福山型の特徴です。

筋ジストロフィーの原因は?

筋ジストロフィーは遺伝や、遺伝子の突然変異によって発症します。原因となる遺伝子は多数発見されていて、原因となる遺伝子によっては、発症に性差が見られます。筋ジストロフィーを引き起こす遺伝子変異は、親から子へと遺伝する場合もありますし、親に筋ジストロフィーがなくても突然変異によって発症する場合もあります。

筋ジストロフィーに対して鍼灸師が出来ること

筋ジストロフィーは病型によって進行の程度や症状が全く異なる疾患ですが、多くは骨格筋に障害が出てくるものですので、鍼灸治療で症状の緩和をしていくことは可能です。鍼灸治療を行うことで筋力低下による運動障害を少しでも防ぎ、患者さんの生活の質(QOL)を維持していくことが何よりの治療目的です。

このページで出した筋ジストロフィーの病型や症状は、ほんの一部に過ぎませんので、当ページにはないその他お困りの症状がある際は遠慮なく当院へご相談ください。