訪問鍼灸について

現在日本において、医療費の増大はニュースなどでもよく見かける話題ですね。
高齢化による医療費の増大はよく挙げられますが、医療技術の進歩によって開発された新薬の公費負担も原因のひとつだと言われています。

そんな中で、「健康寿命を伸ばすこと」や「予防医療・介護」の概念が重要視されるようになってきました。
そのため、病院や施設などでの身体の機能回復だけでなく、暮らしの中(在宅)でこれ以上悪化させない(予防・維持する)治療の必要性が出てきたのです。
今回は、

  • 訪問鍼灸とは?
  • 訪問鍼灸では何をするのか?
  • 訪問鍼灸を利用できる方はどんな方なのか?
  • 訪問鍼灸を利用するには?
  • 訪問鍼灸はどんな方にオススメなのか?

以上について説明していきたいと思います。

訪問鍼灸とは?

訪問鍼灸とは、介護保険を利用して、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の方達が行うリハビリとは異なり、健康保険を利用して、鍼灸師が患者様のご自宅や施設まで直接お伺いして痛みの緩和や身体機能の改善・向上を目標に鍼灸治療を行います。
健康保険を利用しますので、介護保険の福祉サービスなどを利用されている方でも差し支えなく鍼灸施術を受けることが可能です。

訪問鍼灸では何をするの?

訪問鍼灸では、身体が本来持っている自然治癒力を向上させることで疼痛の緩和、関節や筋肉など身体能力の向上を目的とした治療を患者様にあわせて無理のない範囲で行います。
現在、鍼灸治療の効果として科学的に解明されているのは、身体の血液循環をよくする作用や、自律神経を調整する作用、疼痛を緩和する作用、免疫力向上を促す作用などです。

特に在宅医療の分野において期待させる効果を述べると、

  • 1.筋力の維持と低下の予防
  • 2.関節拘縮の予防と可動域の回復
  • 3.麻痺の改善と悪化予防
  • 4.浮腫の予防を悪化予防
  • 5.血行障害の改善

“鍼”と聞くと「怖い」「危ない」「痛そう」と想像される方も多いかと思います。
鍼灸治療で一般的に使われている鍼は裁縫針や注射針とは違い、人間の髪の毛みたいに細く、柔らかな鍼を使用するので痛みはほぼ感じません。
鍼は滅菌された使い捨てタイプを使用しており、施術の直前に開封する為、大変衛生的です。
勿論、鍼の使い回しは致しませんので、他の患者さんの病気が感染する心配もありません。

“灸”は直接灸と間接灸にわかれており、皆さんが「熱そう」「火傷をしそう」と思われるのは直接灸の方に分類されます。
しかし、火傷による感染症のリスクを抑える為、現在では艾が燃えきる(熱いと感じる)直前で火を消すなど患者様にあわせて鍼灸師が調節致します。
当院では肌と艾に空間が開いた間接灸と呼ばれるタイプのお灸を主流に使用しておりますので、火傷のリスクは殆んどありません。

訪問鍼灸の対象者は?

健康保険を利用した訪問鍼灸治療は制度上、医師の同意書が必要となります。
具体的には下記の2項目を全て満たしている方が対象となります。

  • 1.鍼灸治療の保険適応疾患をお持ちの方
  • 2.歩行困難などが認められた場合

各項目について詳しくご説明していくと、

1.鍼灸治療の保険適応疾患をお持ちの方

鍼灸の保険適応疾患

「痛みを伴う慢性疾患」のことを言います。
具体的な病名はこちらの対象疾患一覧からご確認ください。

2.歩行困難などが認められた場合

手足や体幹の筋肉のマヒや、関節がかたくて動かない・動きづらいなどの関節拘縮があり歩行困難でお一人での通院が出来ない状態を指します。
歩行困難とは、杖や歩行補助車・車椅子を利用しなければ歩行・移動できない、あるいは介助者がいなければ歩行・移動できない状態のことです。

訪問鍼灸を利用するには?

健康保険を使用して鍼灸治療を受診いただく場合には、通常の病院とは異なり、「鍼灸治療に対する医師の同意書」が必要となります。
よって、かかりつけ医師に同意書の記入をお願いしていただくことになります。
同意書につきましては当治療院より、同意書をお渡し致しますので、かかりつけ医への受診を宜しくお願い致します。医師に記入いただいた後、当治療院へ提出ください。

尚、健康保険を利用した鍼灸施術は制度上、3ヶ月毎に医師の同意書が必要となります。
医師からの同意書を頂いた際、同意書に記入された同じ病名で、鍼灸治療と併用して病院での治療・投薬・処置は受診できませんのでご注意ください。

訪問鍼灸はどんな方におすすめ?

これまで訪問鍼灸について詳しくお話ししましたが、記事を読まれて「自分(家族)の場合は訪問鍼灸をしてもいいの?」と迷われる方もいらっしゃるかも知れませんね。
筆者の独断ではありますが、ご自身やご家族の方が下記に当てはまる場合は当院へ、一度ご相談してみては如何でしょうか?

  • 自分はどんな治療を行えばよいかわからない。
  • 慢性的な痛みや痺れがある。
  • 筋力が低下して歩くことに不安がある。
  • 関節の動きが悪くなってきた。
  • 日常生活に対して不安な部分がある。
  • 脳梗塞や脳出血などの後遺症で麻痺や拘縮がある。
  • 介護保険の利用限度額が心配。