変形性膝関節症について

日常生活に伴うひざの痛みの原因の多くは「変形性膝関節症」と言われており、近年では足腰の問題を原因とする要支援・要介護者が増えています。

2013年の国民生活基礎調査では、要支援・要介護の原因は脳卒中(18.5%)、認知症(15.8%)、高齢による衰弱(15.4%)、転倒・骨折(11.8%)、関節疾患(10.9%)で、関節疾患と転倒・骨折、つまり運動器の問題によるものを合わせると脳卒中、認知症を超えるのです。

今回は変形性膝関節症とは何か?
変形性膝関節症の原因は?
変形性膝関節症に対して鍼灸師が出来ること。
以上についてお話していきたいと思います。

変形性膝関節症とは?

大腿骨(ふとももの骨)と脛骨(すねの骨)は、関節包という包みに覆われています。変形性膝関節症では体重の負荷などによって膝関節の軟骨がすり減って、薄くなり、また、加齢により関節液が少なくなります。これらにより大腿骨と脛骨の隙間が狭くなります。

その結果、骨同士がぶつかりやすくなるなどで軟骨や骨の関節面が破壊され、関節の辺縁部に「骨棘」という突起が形成されます。また、骨同士がぶつかり続けると骨棘は破壊され、軟骨の破片が滑膜炎を引き起こし、関節が腫れます。この異常に身体が対処しようとして、関節液をたくさん作り出すため、関節液が溜まってしまうのです。

変形性膝関節症の主な症状は膝の痛みや腫れ、動かしにくさです。
それぞれについて詳しく説明していきます。

動作時の痛み

変形性膝関節症で特徴的な症状は「膝を動かした時に生じる膝の痛みです。最初は立ち上がる時、歩き始める時など、膝に体重がかかりやすい時に痛むことが多く、もう少し進行すると階段昇降の時、正座した時など、特別な動作をした際にも痛みが生じるようになります。初期では安静にしていると痛みが軽くなりますが、進行していくと安静時でも痛みがとれない場合があります。

膝が腫れる

一般的に「関節に水がたまった」と言われるのがこの状態で、変形性膝関節症などによく見られる症状です。関節の滑膜に炎症が起こると、関節液が異常に沢山たまって膝の腫れが起こるのです。

膝の動作障害(動きづらくなる)

正座やしゃがむなどの膝を曲げる動作が難しくなったり、膝を伸ばすことが難しくなったりします。また、歩き始めるときに横にぶれることがあります。

変形性膝関節症の原因は?

変形性膝関節症は大きく一次性と二次性に分けられます。
一次性は外傷などの明らかな原因もなく膝の痛みが起こるもので、二次性は膝の骨折や靱帯損傷などの外傷が元で起こるものを言います。変形性膝関節症の多くは一次性です。

一次性変形性膝関節症の原因

変形性膝関節症は荷重が膝関節にかかることから関節や軟骨が破壊されて起こりますが、何故関節軟骨が破壊されるのか、はっきりした原因は解明されていません。悪化しやすい要因はいくつかありますので、ご紹介します。

1.加齢

中高年に多いことから一般に加齢が関連していると言われています。加齢とともに関節や軟骨の新陳代謝が衰え、摩擦に対して痛みやすくなっていくというものです。他にも、年齢を重ねると足腰の筋力が衰えていきやすく、特に太ももの前側にある大腿四頭筋は歩かなくなると弱くなりやすく、立ち座りの動作や階段の昇降に支障が出やすくなります。

太ももの筋肉は膝の動きをコントロールし、また体重を受け止めて膝関節の負担を補う働きをしています。太ももの筋肉が弱くなると膝関節がうける負担が大きくなり関節軟骨が傷みやすくなると考えられています。

2.肥満

加齢の部分でも少し述べましたが、体重が増えれば膝の負担も増しますので、肥満は変形性膝関節症に関連があると言われています。歩行時には体重の3倍もの負荷が膝にかかっていると言われます。体重が1㎏増える=ひざの負担は3㎏増ということになります。階段の昇降や走る動作などの場合はそれ以上の負荷がかかります。

二次性変形性膝関節症の原因

若い時にスポーツや事故などで靱帯損傷などのケガをした場合、それが変形性膝関節症の原因となる場合があります。靱帯損傷や骨折などの外傷や関節のかみあわせの障害などが原因で関節軟骨が痛み変形性膝関節症が起こすものを二次性変形性膝関節症と言います。二次性変形性膝関節症の原因となり得る外傷をいくつかご紹介します。

前十字靱帯損傷

スポーツや事故などで大腿骨と脛骨をつなぐ靱帯に損傷を受けることがあるが、特に前十字靱帯損傷はしっかり治療しないとひざくずれ(膝が亜脱臼のようになり急に不安定になる)を起しやすく関節に負担がかかってしまいます。

半月板損傷

スポーツをする人に多い関節内のクッションである半月板の損傷です。人によっては傷んだ部分を切除したり縫合したりしますが、関節や軟骨に負担がかかりやすくなります。

膝周囲の骨折

骨折した際に関節の中にまで入ってしまうと関節の表面に段差ができ軟骨を痛めやすいです。また骨折後に骨が変形した状態で治癒した場合、関節面がO脚やX脚のように偏ると軟骨の片側がすり減りやすくなります。

変形性膝関節症に対して鍼灸師が出来ること

変形性膝関節症の患者さんに対して鍼灸治療を行う際は、膝関節の痛みを取り除くことが目的となります。膝関節の変形による負担は膝関節周囲の筋肉へ分散し、更なる痛みや違和感を伴うので鍼灸治療が効果的です。

膝関節痛をおこすと歩く際に痛みが出る為、動くことが段々億劫になってしまいます。その影響で、大腿部の前側にある大腿四頭筋を中心とした筋肉が衰えやすくなり、膝関節を支える働きが弱くなってしまうのです。

なので、鍼灸治療でまず膝関節そのものの痛みの軽減も行うことで、リハビリなどの運動療法をより痛みや苦痛なく効果的に行いやすくするお手伝いが出来るのです。